外伝-1

・外伝-1「疾走!英国旅行記(前編)」

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それは、夏休みのとある一週間の出来事だった

後に忍たち自身が語る事は語る事はなかったため・・今回はこっそり、その話をお送りする。

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「里帰り?」

「・・ええ、一度本国へ帰還しろとの事ですので」


チェスは屋上で忍と共にフェンスにもたれながら、その話をした


「ついては向こうで重要な任務があるので・・・忍さん、一緒に来ていただけませんか?」


忍は今しがた飲もうとしていたオレンジジュースを握りつぶし、全部ぶちまけた


「なっ・・俺!?・・・・ど、どうして俺を連れて行く必要が!?」

「よければ明さん、改都さんのお力も借りたいのです・・今度の一件は少々、難題ですので・・ね?」


にこっ・・と作り笑い(汗)をして見せるチェス

それに対して忍は・・・

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1日目・・12:00 中国大陸上空

俺は空の上にいた・・もちろん、明と改都もきっちり連れてきている

スパイってのは儲かる仕事なのかね?・・・きっちりファーストクラス席が用意されてるなんて・・

ま、楽しい空の旅を・・今のうちに楽しんでおこう

もしかしたら明日は死ぬような目に遭うかもしれないワケだし

・・だからってチェスだけそういう場に行かせるのは、流石に気が引けるからな


「・・改都、あいつ正気か?」

「意地でも流星牙皇だけは離せないんだって」


・・改都は「貨物室」で、しかも恐らくは寝ているだろう。

気圧は大丈夫なのか、そういうことも心配になるが・・

・・あいつの場合自覚のない銃刀法違反者であることこそ、真に怖い事なんだよな~・・

「・・・チェスとお前はいいのかよ」

「コレのこと?」


明がウェストポーチからエアガンを取り出そうとしたので俺は急いで止める

・・よく機内に持ち込めたもんだよ、おめーら。


「・・頼むから無頓着にそういうことをしないでくれよ」

「う、うん・・」


チェスは隣のシートで眠っている

・・ホント、大人しくしてりゃ普通の「外国からの転校生」だったのになぁ

正直メイのヤツを見た後なので、そうは思わなかっただろうが(笑)


「ねぇねぇ忍ぅ、この人の銃面白いんだよ」

「・・だから、銃刀法違反で捕まりたくないなら・・」


そこで俺は絶句した

目の前に、本物の拳銃・・いや、それで驚く事はもうないが

・・その銃口が真っ直ぐ俺の頭に向けられていた

チェスの隣・・通路を挟むようにして、俺とあいつの間に男が現れていた

風貌はいかにも怪しい黒いスーツにサングラス、手に拳銃・・だ


「すっごいよねー♪コレってブローバックアクションしたら絶対格好いいと思うよ~」

「・・お前、少し大人しくしてろ(汗)」


男は始終無言でいたが、俺が明を黙らせるとそれでいい、と頷いた


「・・この機は我々が占拠した・・」


・・テロリストか?・・・しかし、ジャンボ機乗っ取るなんて今更流行らないと思うんだがなぁ・・

・・にしても、チェスは寝てるし明は気付いてないし・・どうする?


俺が早速行動に困っていると、突然、目の前の床に丸い輪が現れた


「・・あ?」


男も反応して、その丸い輪に近寄る

・・イヤ、あれは丸い輪が出てきたんじゃなくて・・・床が丸く切れたんだ

案の定、俺が予想した通り・・・


ばっ!・・と、その丸く切れた床が飛び出して、男の顔面を直撃した

ごとっ・・という音と共に、開いた穴から見慣れた刀と、級友の姿が現れる


「腹が減っては戦も出来ぬ・・忍殿ぉ~・・何か食事をいただけぬだろうか~・・」

「・・ナイス、改都(笑)」

「は?」


ワケが分からない様子の改都をよそに、俺は結構な展開に大笑いした

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12:15

飛行機は特に航路に変更などもなく通常通り飛んでいる

・・コクピットが制圧されていないのか、それとも、ヤツらの目的があっちに着いた後にあるのか・・

いずれにせよ俺たちは二手に分かれて、行動を開始する

俺は明と尾翼側へ、チェスは改都とコクピット側へ・・


「ひょころへ、ひょろひろははれへほばるは?」

「・・口の中のモノ飲み込んでから話せよ」


機内食の残りをがっつきながら話していた改都は、慌てて飲み込むと今の意味不明な台詞を改める


「ところで・・この人は誰でござるか?」

「テロリストですよ」


チェスは一言言って、すたすたと歩いていく

ファーストクラスの乗客は皆彼らの行動を呆然と眺めていた

改都が床を破ってきた辺りからずっと・・

・・なんなんだこの子供たちは?・・

・・新手のショー?・・映画の撮影?・・


改都は自分が倒した男を見て怪訝そうな顔をしていたが、チェスの後について走っていった

・・さて、今度は俺たちだ

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狭い通路・・ファーストクラスの通路とは大違いの、乗務員用の通路

その先に陣取っていたテロリスト達


気づかれたとわかり壁に身を潜めていると、案の定銃弾が飛んでくる

・・2、3、4・・間隔から数えて敵はおおよそ3人くらい・・

銃撃の間をかいくぐって、改都さんがまっすぐ突っ込んでいく


「正気か!?」


・・と言ったのは私ではなく、テロリストの方

改都さんは銃弾をかわし、剣で切り裂き、疾風迅雷のごとく敵に斬りかかる


どっ・・・・


しかし剣で敵を斬ることなく、3メートルはあろう剣の背で3人のテロリストを殴り倒してしまう・・


「・・安心なされ、峰打ちでござるよ」

「さすがはサムライ」

「そ、そう見えるでござるか??」


褒めると照れ笑いを浮かべる改都さん


「しかし・・よくこのような狭いところで流星牙を振るえましたね・・」

「・・そういえば・・なぜでござろう?」


・・ずる・・

壁がズレたように見えたのは、その一瞬でした

バラバラと壁が崩れて、両側はあっという間に隣の部屋とつながってしまいました


「・・斬れてたんでござるか・・・(汗)」

「外壁でなくてよかったですね・・気圧扉なんて斬ろうものなら、一瞬で外に放り出されますよ?」

「・・自粛するでござる。」


と言いつつも剣をしまわないで、改都さんはコクピットへの道を走り出していた

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同時刻


「明ッ!乗客に当てるなよ!人質取る暇もやるな!」

「早撃ちは大好きだから大丈夫っ♪」


・・なんか心配になってきた

ともかく、俺は後部乗務員室の様子を確かめるため明と共に通路を突破する

そして、あとは乗客の間を通り抜けるワケだが・・多分敵が何人かいるだろう

テロリストってのはチームだからな、妙に結束力があって怖ぇー。

物陰に身を潜めると、俺は手に小型の「クナイ」を三本ほど握った

・・いーじゃんかよ、忍者だぜ?


「一、二の三!・・で行くぞ?」


・・明の姿はもうない


「バカっ!!今のは打ち合わせ・・!!」


がばっ・・と立ち、飛び出していった明を見る


「・・・・」


絶句したのは、決して明が死んでいたとか、そういう事態を見たからじゃない

・・五人の男が一直線に倒れ、二丁拳銃(エアガン)を構えた明がそこに立っていたからだ


「・・今の一瞬でやったのか?」

「うん、俺のストライクイーグルとストライクシルフなら、このくらい楽勝♪」


笑いながらそういう事をやってしまうんだから、まぁチェスの見込みも間違ってないようだな・・

・・まぁ、だったら俺も無茶して行くか・・どうせなら楽しい方がいいし(笑)

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12:40

・・事態は映画的に進んでいた

何がって?・・そりゃ、今俺が操縦桿を握っている事を言えば想像つくだろうよ・・

テロリストは機長達に睡眠薬を盛っていたらしく、操縦は俺たちでやるしかない


「一度操縦してみたいとは子供心に思ったモンだが・・・結構つらいなぁ・・」

「忍、なんなら次俺がやるよ?」

「・・ゲームじゃねぇんだよ(怒)」


断られて、なにやら言いたげだった改都がだまった

・・そうか、お前も操縦したかったか。

そうこうしている横で、チェスは管制塔に向かって呼びかけを続けている


「・・ええ、了解しています「M」


・・もとい、MI-6(所属組織)の本部に連絡をとっているようだ(汗)

・・さぁて・・俺の操縦でどこまで飛べるやら・・


・・・・これからが前途多難なのは、そこから想像がついた。

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16:20・・ロンドン、ヒースロー空港・・

俺たちは色々な事情聴取、状況説明を終えてやっとのことで英国の地を踏んだ

奇跡的なランディングだったぜ?・・右後輪がバーストした時は流石にヤバイかと思ったが・・

俺たちはこうして無事に、地に足をついているんだからそれでいーだろ


「おお・・これが大英帝国でござるか・・」


田舎者一名が相変わらず刀を引っさげて、辺りをきょろきょろしている(汗)

チェスと明は楽しそうに笑っている

・・俺もようやく、安堵のため息をついた


「ロンドンご到着・・と。」


自分でシメて、チェスに先頭を任せた

つかつかと歩いていくチェス・・しばらくして、空港のゲートを出る辺りに横断幕が見えた

・・来客をもてなすための旅行会社のものであったり、帰ってきた家族を出迎えるものであったり・・

その中に、一際目立つ巨大なクマ(?)のアドバルーンがあった


(くま?)
(・・クマ?)
(熊・・・・)


チェスはゲートを抜けてすぐに、そのクマの下・・そこに立っていた二人の女性に話しかけていた

・・知り合いか

容姿は・・一人はなんだかチェスに似ている、というよりはチェスを大人にしたような感じだ

スーツ姿でびしっとしていて、いかにも仕事のできそうな印象

もう一人は逆に、チェスより少し幼く見える

ワンピースにリボン、めかしこんでいるが年齢もそれなりだろうか・・


「お帰りなさい、フランチェスカ~♪」

「お帰り、お姉ちゃん~♪」

「ただいま・・姉さん、シャルちゃん」


にこやかに答えるチェス・・そうか、この二人とは姉妹か・・

ゲートをくぐってすぐ、棒立ちしている俺たちの元へ三人が向かってくる


「はじめまして、妹がお世話になってます・・姉のゼオラです。」

「妹のシャルロッテです~」


両方ともチェスの姉妹とは思えないほど、極端にテンションの差がある

・・少なくとも、チェスよりはかなりハイテンション(汗)


「こちらが日本から来てくれた高杉忍さん、早月野明さん、勇輝改都さんです」


丁寧に紹介されて、俺たちはそろってぺこり、と礼をひとつ


「遠路はるばるご苦労様です・・ささ、車が用意してありますから、どうぞ」

「では・・お世話になるでござる・・」

「わぁ・・改都さんってサムライなんですか?」

「む・・・そう見えるでござるか?」


当たり前だろーが!!


周囲の人間の何割がそう突っ込みたかっただろうか?

背中に3メートルの物干し竿(by佐々木小次郎)背負ってござる口調

・・一昔前の映画見たら一発でそう思うぞ、改都よ・・


「でもその刀、車に乗らないよね・・?」


シャルがゼオラさんの方を見ると、ゼオラさんは困ったように眉を下げる


「・・わかり申した」


突然がっくりとうなだれると、改都はチェスの家の地図と、英ドル硬貨を数枚もらってバス乗り場へ歩いていった

・・がんばれよ、改都(笑)

俺と明はゼオラさんの車で一足先にチェスの自宅へ向かった


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17:40

結構走ったかな・・と思ったら、案外近い所にあったチェスの家

ゼオラの車は工事の渋滞に巻き込まれ、かなり時間をロスしていたためだった

後部座席のドアを開け、忍と明、シャルが降りる


「どうぞ~」

「おっとっと・・」


シャルに手を引かれ、明がよろけながら続く

チェスの家・・クロード邸の外観は「素晴らしい」という一言に尽きるだろう

小高い丘の上に建ち、眼下には壮大にロンドンの街並みが広がっている

しかも周囲に他の家や建物はなく、騒がしい街にあって一点の静けさを保った場所・・

加えて家はレンガで外装を覆ったシックな作りの大きな屋敷・・


・・やっぱいいトコのお嬢さん、ってか・・。


忍はそんな事を考えて苦笑いする


「さぁ、どうぞ上がってください」

「ああ・・そうさせてもらいます」

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18:10

リビングに通された忍と明はクロード三姉妹と談笑していた


「・・日本は随分面白い所のようですね♪・・あなたも毎日楽しいでしょ、チェス」

「ええ、もう仕事忘れてしまいそうなくらい」

「・・をい、冗談に聞こえないぞチェス・・・」


時折忍がマジツッコミを入れたりしている(笑)


「そういえばゼオラさんはどういうお仕事してるんですか?」


明がそれなりに間を読んで質問した

忍も興味があるらしく、うんうんと頷く


「ええ、SAS隊員ですけど?」


ぶぅっ!!・・と飲んでいた紅茶を吹き出す忍と明


「え・・えすえーえすぅっ!?」


明が驚く事は結構珍しいが・・この場合はちょっと普通の反応とは違っていた


「サインくださいッ♪」


ずどがっ!・・と忍がテーブルの角に頭をぶつける


・・そういえばこいつ・・銃とかミリタリーにうるさいんだったな・・

明は目を輝かせながら語り始める


「SASの始まりは第二次大戦、スターリングの発案で強襲部隊が編成されたのが・・」

「ええ・・それで現在は主に対テロ部隊として世界最強の特殊部隊とも言われています」

「合い言葉はWHO DARES WINS(勇気ある者は勝利する)ですよねっ?」

「そうですよ♪」


・・忍、チェス、シャルを無視して二人でSASについて語りだす明とゼオラ


「装備見せてもらえませんか?」

「ええ、いいですよ・・」


すすっ・・と胸元からさりげなくサブマシンガンを取り出すゼオラ


忍がもう一度吹いた


「い・・今どこからマシンガンをっっ!?」

「?・・いえ、ここから・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」


普通の対応で上着を脱いで見せるゼオラ

忍が絶句したのは、その上着の裏にびっしりと仕込まれた武装の数々である


・・どこに?・・どこにこれだけの武装が隠れていたんだ・・!?


「やっぱH&K(ヘッケラー&コック)のMP5は定番ですよね~・・ちょっとカスタマイズが効いてるけど」

「あら・・私は支給品のブローニングやH&Kは好まないんですよ・・どうせならコダワリのグロック19両手持ちとか」

「へぇ~・・片方はカスタムでLに形状似せてますね、ちょっとマガジンの形も変ってるし」


・・・ついていけない


忍は痛烈に感じながら、紅茶をもう一杯飲み干した。


「そういえばシャル・・お前さんは何歳なんだ?」

「はい、11ですよぉ」


ゼオラの話を聞き流していたシャルは、微笑みながら忍の問いに受け答えする


「ちなみに所属部隊はチェスお姉ちゃんと同じくMI-6、ただし開発部でQのおじいさんと一緒ですけど~」


・・・ダメだ、ここは俺の知っているイギリスじゃない・・・・


どこの世界を探せば三人揃って特殊部隊、な三姉妹がいるだろうか?

忍は気分が重くなってくるのを感じながら、がっくりとうなだれた。


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18:30

グリニッジの標準時間で行動するロンドンの街(・・あくまで上の時間は日本時間である。)

改都はその街のど真ん中で、途方に暮れていた


「・・・勇輝改都一生の不覚・・・まさかバスを乗り違えてしまうとは・・・」


彼の真上にはかの有名な時計塔・ビッグベンがあるのだがそんなもの見ている余裕はない

・・代わりに、周りの人々が好奇の目で改都を見ていた


(・・サムライ)

(サムライ?)

(佐々木小次郎?)


とりあえず困った改都は、その辺にいた警官に声をかけてみることにした

・・道路の真ん中で交通整理している警官に・・だ(笑)


「あの・・つかぬ事をお伺いするが・・」

「・・すまないが仕事中でね・・って・・」


改都の流星牙が目に入る警官


「まさか・・最近ロンドンを騒がせている切り裂き魔はお前か!?」

「は?・・・・」


きょとんとする改都をよそに、警官は腰にしまっていたサーベルを引き抜き、改都に向ける


「そうとわかれば逮捕・・!」

「・・武士に刀を向ける事の意味をお分かりか?」


改都は目にもとまらぬ速さで流星牙を振るった

一瞬で警官の細身のサーベルが切断され、流星牙の刀身が警官の首に当てられる


「・・命を捨てる覚悟なくば、軽率な行動は控えた方がよいでござるよ」


改都は鬼のような形相でそう言い残し・・その場を去った

警官はしばらく放心状態でいたが、渋滞し始めた車のクラクションで我に返った


「・・ジャパニーズ・サムライ・・・・」


・・殺人鬼でない事はなんとなく理解したが、それでも彼は危険人物にしか思えなかった

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「・・ところで私はどこへ向かえばよいのでござろうか・・・(汗)」

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翌日・・AM 07:20


「・・・・・」


私達は黙々と朝食のベルギーワッフルを食べていました

明さんは美味しそうに食べているのですが、忍さんはなにやら問題アリな顔を・・


「・・なぁチェス、イギリスってのは朝からベルギーワッフルなのか?・・・っつーか何もなくてワッフルばっか食べて一日を始めるのか?」

「いえ・・なんとなく、お好きかなぁと思って・・」

「・・だからってワッフルしか出さないってのはなぁ・・」

「あ、イチゴとミカンのジャムがありますよ?」

「・・そういう問題じゃないって(汗)」


・・それでもまた、黙々と山積みにされたワッフルを食べるお二人。


「・・っつーか明、お前もう何個食ってるんだよ?」

「?・・・21個目だけど」


忍さんは無言でハリセンを振るっていました

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07:40

クロード邸のリビングに集まった三姉妹と俺、明の五人

・・チェスの両親は俺たちが寝たくらいに帰ってきて、またすぐに出かけてしまったらしい

そして改都は何の連絡もなく、到着する様子もない・・(汗)


だがそれをどうこう言ってもしょうがない、まずは三姉妹の話を聞く事にした


「では本題に入りましょう・・MI-6はある情報を入手して、テロリスト組織の壊滅を計画しています」

「・・ま、そんなんは予想してたことだが」

「お二人(あと改都さん)に協力していただきたいのは、メンバーを少数に絞って潜入しなければならないためなんです」

「ふぅん・・・」


流石に軍隊送り込んでなんて大事には出来んわなぁ・・


「それじゃ・・さっさと始めようか」

「まず今日は準備です・・これからMI-6の本部へ向かいますよ」

「なんならSASも見ていきます?」


チェスの横からゼオラさんが出てくるなり、明の目が輝く

「行きます行きます!っていうかキル・ハウスで実戦演習やってみたいですっ!!」

「・・・・・」


こうして俺たちのイギリス二日目が始まった。

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同時刻・・


改都はある事情により、ビッグベン近くの教会に泊めてもらっていた

外へ出る改都を20代くらいの女性・・教会のシスターが見送っている


「お世話になったでござる・・では、失礼いたす」

「いえいえとんでもない、あなたこそあのアウトロー達を追い払ってくれて・・」

「私は武の道を志した者、武すなわち己が正義の道でござる」

「格好いいぞー、兄ちゃん!」

「サムライ~!!」

「そ・・そうでござろうか?(照)」


・・昨日彷徨っていた改都はシスターに絡んでいたアウトロー(要は悪いヤツ)を退治した

彼は教会とここに住んでいた子供たちに暖かく迎えられ、何とか野宿しないで済んだのだった

・・改都は一礼すると、教会の大きなドアを開けて出て行く

その顔は晴れやかで、清々しいものだった


・・これぞ武の道でござるなぁ・・


しかし、その数分後にバスが通りかかったのを見て思い出してしまった


「わ・・私はドコへ行けばいいのでござるかーっ!?」


後半に続く(キートン山田調で)
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